少女J……14「Girls-BP #01」の2

頭部から順番に各部解説をしていこうかと思ってたけど、方針を変えて、創作過程をなるべく追うかたちで解説してみることにした。

1)胸部

乳房の表現は本作のメインであると言えるだろう。本作はまず各パーツを作成し、後でそれらを全体に収めるという、蛇腹設計ではごく標準的な手順で作っているが、実はこの乳房パーツは去年の4月にはもうできていたものだったりする。出しどころを図ってるうちに1年以上経ってしまった。


乳房の造形としては、『折紙探偵団』112号に出ていたやまぐちさんの「千円札のトルソ」も同じ形だった。盛り上がりを立方体のカドで見立てたもので、折り紙的にはわりと素直な発想かもしれない。

作りたいのは要するにこんな箱のような形だ。この折り上がりの形状イメージが先行してあり、用紙内部でそれを実現することを考えていった。この形状を折るパターンはいくつもあるわけだけど、「どこに折りフチの線が出るか」が重要な要素だ。
やまぐちトルソのパターンは、下の図左のように折りフチが出る。折りが容易な点で好ましいが、用紙内部では紙の厚みなどで折りフチが目立つ結果となりそうだ。ぼくとしては乳房下部はなめらかに繋げて出したかったこともあったから、下の図の右を選んだ。

具体的な手順としては、第1段階としてより単純な箱状のかたちを試行錯誤で作り、それから中央の切れ目を仕込み折りして、とりあえず目的の形状が得られた。


さっそく腕や首と繋げてみるとこうなった(写真は24*12等分用紙から)。

ちょっと乳房の位置が下だろうか? 乳房の位置というのは、基本的には上の方にあると若い年齢に、下の方になると年取った感じに見えるようだ*1。アニメや漫画だと、ときに不自然なほど上についている絵も見受けられるが、そういうのは半ば記号化しちゃってるのかなと思う。

さておき、「1/2ずらし」の技法を使って位置を調節してみることにした。この方法は、以前目黒さんの掲示板で盛り上がった技術なんだけど*2、あーこういうときに便利なんだ、と納得。


これが実際の1/2ずらしパターン。展開図では上下で異なるパターンになっているけども、上の写真のはどっちも上側のパターンで折っている。
しかし、紙の内部だけ1/2ずれた折り筋をつけるのはかなり面倒な作業で、折りたたむ工程もとても折りにくい。今回改めて全身を試作して、別にずらさなくてもそう変じゃないかもと思えたため、結局ずらさないままで仕上げてしまった。首から肩の整形によって印象が変わるなど微妙な感じなのだが……若干、下かな、という気がちょっとしている。今度ずらした奴も折ってみようかなと思う。



左右に出来るヒダの等高数を合わせたり、胸の間を沈め折りしたりするなどの処理を加えて、展開図は最終的にこうなっている。さらに、首を作った後で、胸の上に出ているヒダを内側に沈めて(ホイル紙だと大変)、胸部の完成だ。


つづく

*1:正確にはそれぞれ違う形状になるわけだからちゃんと折り分けるべき話なんだけど、それはまあ将来的な課題ということで

*2:http://www.origami.gr.jp/~komatsu/etc/meguro-bbs-log/2003-07-23.html 2003年7月末ごろ