9鶴の畳み方

9鶴の畳み方に関しては舘知宏さんが明快な解説記事を公開されているが、本記事では、いくつかの折り畳みテクニックとともに、より具体的なステップの一例を紹介する。

鶴の基本形の折り筋のつけ方

鶴の基本形の折り筋は、紙を半分に重ねてしまってから花弁折りをすると手っ取り早くつけられる。



▲まず、用紙のカド部分につける場合の解説から

▲鶴にしたい部分を三角に折る

▲花弁折りをしてしっかりと折り筋をつける。小さいカドも折り返して折り筋をつけておく

▲ひろげると鶴の基本形の折り筋がついている。4鶴はこれを用紙カドの4か所で行えば良い(座布団折りをしてからアヤメの基本形を折るとすべての折り筋がつく)。



▲紙の内部に鶴の基本形の折り筋をつける場合

▲同じように花弁折りをする

▲折り筋がついた

用紙内部における鶴の基本形の畳み方その1

用紙内部に埋め込まれた鶴の基本形は、周りにある紙が邪魔となってしまい、通常の手順による折り畳みがやりにくい。本記事では3種類の方法を示す。まずはもっともポピュラーな「空中折りで一気にまとめていく」方法を解説する。


▲前述のようにしてつけた折り筋の山谷は、その半分が反転してついているので、正しく畳める山谷に変えて畳んでいく。周囲の紙は鶴の翼のカド付近が凸に、鶴の頭・尾のカド付近が凹となるようにする(とやりやすい)

▲こういう空中折りは沈め折りをはじめ難しい作品で頻出するのでとにかく慣れるべし

▲凹になっていた鶴の頭・尾のカド付近を押し出して凸に変える

▲後ろ側も同じく折って持ち上げると、舘さんの記事における
○○
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パターンで用紙内部の鶴が折り上がる

▲できあがり

▲裏側の様子

用紙内部における鶴の基本形の畳み方その2

次は少し特殊な手順を紹介する。このテクニックは内側にある紙のフチを引っ張り出す工程に独特の難しさがあるが、事前に折り筋をつけておく必要がないので、慣れると非常に手早く折りたたむことができる。



▲風船の基本形から始める

▲鶴の基本形を折りたい部分に折り筋をつける

▲折り筋にあわせてカドをつまみ折り。これで鶴の基本形の折り筋がつくが、紙が1/4に畳まれた状態なので前述した花弁折りの手順に比較するとズレが発生しやすい。なるべく丁寧に折ってしっかりと折り筋をつける

▲手前の1層のみをふくらませるようにして折る

▲こんな感じ

▲フチをかるく持ち上げる

▲ここが少し難しいが、内側に見えるフチを引っ張り出す

▲一瞬ぐちゃっとなるが慌てず丁寧に畳む

▲こうなる。これで鶴の半分が折れた

▲小さいカドを折り返して反対側も同じく折る

▲こうなる。これで鶴の基本形が折れた

▲完成。もちろん、ここから「内部鶴の畳み方その1」の完成形状に変化させることもできる

用紙内部における鶴の基本形の畳み方その3

次の手順は「内部鶴の畳み方その2」のバリエーションのようなものだ。


▲風船の基本形のカドを1つと3つに分けた状態から始める

▲カド3つの側を斜めに折って折り筋をつける

▲つけた折り筋で沈め折り(open sink)

▲すき間をひらいて右側のカドを押しつぶす

▲途中の図

▲難しい工程。内側にある小さいカド(鶴の背中のカド)を引っ張り出す

▲やはり一瞬ぐちゃっとなるが落ち着いてきれいに畳む

▲完成。「その1〜3」の完成形(最後の写真での形状)はすべて異なっているが、「用紙内部にある鶴の基本形」という点では同一のものとして見なすことができる。

9鶴の畳み方

以上の折り方をマスターした上で9鶴に取りかかろう。9鶴の難しさには、同じ構造がいくつもあり、生じるフチの数も非常に多いため、折っている最中にどこがどうなっているのか分からなくなってしまうことがある。本図解では紙に色分けをすることで、理解しやすくすることを試みた。初めて折る人は、色分けとは行かずとも、それぞれの小正方形に模様などを描いてから折ると分かり易いだろう。紙の大きさはできれば35cm四方、少なくとも24cm四方を推奨する。



▲「中央の鶴(ピンク)」「辺の鶴(水色)」「カドの鶴(きみどり)」というように分けて考えて折ると理解しやすい

▲3等分の折り筋をつける

▲風船の基本形を折り、ピンク(中央の鶴)を前述した「内部鶴の畳み方その2」で鶴の基本形に折りたたむ

▲折ったところ

▲風船の大きいカドを1つと3つに分け、「中央の鶴」をこのような形にする。表と裏のカドを折り返す

▲それぞれ表と裏に折り返す

▲このようになる。右側のカドを持ち上げるように折る

▲「中央の鶴」の4つのカドが揃うようにする。

▲これは「内部鶴の畳み方その1」で紹介した完成形と同様の構造ということになる。ここまでを「その1」と同様の手順で折っても良い

▲裏側の様子

▲十字に立っている紙のフチを互い違いに倒しながら、全体を半分に折る

▲こうなる。写真ではズレているがきっちり折ること

▲水色部分(辺の鶴)を内側から引っ張り出す

▲裏側も同じ

▲風船の基本形を折るときのように、内側をひらいてつぶす

▲先ほどと同じように水色部分を引っ張り出す

▲裏側も同じく折る

▲折ったところ

▲こんな状態になる。次は黄緑部分(カドの鶴)を折りたたむ

▲4鶴のときと同様、半分に折って花弁折りをする

▲花弁折りをしたところ

▲「カドの鶴」を折ったところ。残りの3か所も同じく折る

▲「カドの鶴」が全て折り終わったところ。最後に「辺の鶴」を折りたたむ

▲下側のフチを全部中割り折りする

▲水色部分(辺の鶴)が風船の基本形になったので、「内部鶴の畳み方その2」と同様につまみ折りをして折りたたむ

▲つまみ折りをしたところ。紙の厚みでズレやすくなっているので丁寧に。

▲ふくらませる工程では用紙の辺の部分を引き出して折ると、内側に指を入れられるので折りやすくなる

▲「辺の鶴」を1つ折り終わったところ。中央の鶴と接している部分(写真上側)のフチを引っ張り出すのが最大の難所。破かないように丁寧に折る。

▲残りの「辺の鶴」を全て折ったところ。

▲9鶴の完成

▲別角度から。この厚みこそ9鶴!

「辺の鶴」のよりやりやすい畳み方(追記)

上の解説では、最後に畳む「辺の鶴」を「内部鶴の畳み方その2」の方法で行っているが、用紙の内部側を引き出す工程がかなり難しく、失敗するとシワが寄ったり、最悪紙が破れてしまうこともあるかもしれない。
以下のような手順で折ると、もう少し楽に「辺の鶴」を折ることができる。



▲この形から…

▲斜めの線で沈め折り(open sink)。実際は上の方だけ折れば良い

▲1枚めくる

▲へこんでいる小カド(鶴の背中のカド)を手前に押し出す

▲押し出したカドをつまむようにして平らに畳む

▲下を中割り折りすれば「辺の鶴」の折り畳み終わり