新作「小鳥」

ようやく自分にとって課題の1つであった、鳥の作品を作ることができた(カワセミは小松スタイルじゃないので除外。みみずく・ペンギン・おんどりもデフォルメ系ということで除外)。
Little Bird
Little Bird
紙は両面ハトロン紙22cm角で、糊不使用。リンク先のFlickrに別角度の写真が後2枚あります。

展開図*1。やりたかったのは真ん丸とした立体感で、パンダ(2007版)の首で使った技法をそのまま使っている*2
立体的な造形と言ってもいろんな方針があると思うが、例のごとく幾何的な形状を残したデザインを意識した。構想自体、前川さんの「デルタ六面体鳥類シリーズ」を見た頃から温めていたので、実現まで10年もかかったことになる(かかり過ぎ)。その間、Roman Diazさんとかが同路線で作り始めたりしてちょっと焦ったりもした*3



最初にできたのは指無しだったのだが、足周りに不用領域があって少しの付加で出せる状態だったので指を付けてみた。指の1本が内部カドで細さが出せなかったり、付加した領域の一部が胴体下部で死蔵されていたり*4と欠点もあるが、作品が足のみで自立できるようになるのでOKとする。第1趾には内側のカドを充てたいところだが、そうすると外から見えにくくなってしまうため外側のカドを使っている。


正直言うと、立体感に関しては思い描いている理想にはほど遠く、いずれ第2作に挑戦してみたい。実際の小鳥はもっともっと横に幅がある。この作品だと、ふくらます機構が腹側にしかないので断面が雫形になってしまっているが、当然本来は丸い。この辺りを解決するには、羽根〜背中周りの構造を一新しないとならなそうだが、今回の羽根は作者にとっては僥倖というもので、捨て切れなかった。むしろこの羽根に出会えたので作品成立したと言ってもいいくらいだ。
他にも、お腹の下が少し尖っているのも不本意だが、無理に折り込むとコンセプトがぶっとぶので見逃す。しかし、完全につじつまのあった立体を再現したいというわけでもなく、作りたいのは折り紙ならではのディストーションがかかった造形だ。問題は、良いディストーションと悪いディストーションの判断なわけだが、そこは悩みながら作るしかない。上で問題点ばかり挙げてしまったが、後方から見下ろし気味で見たアングルなんかは雰囲気がよく出ていて気に入っている。

*1:指の一部の折り線が無いのは、基本形の平坦条件を満たすため。指をちゃんと折った状態で平坦にすると、ちょっとごちゃごちゃしてしまう

*2:最近だと川畑さんの「リャマ」も同じ構造で立体化していた

*3:あと去年のコンベンションで見た柏村さんの鳩とか

*4:尾の方に回して、構造的にきれいになるパターンもあるが、仕上げでデメリットがあるので採用していない