新作「チョウ」

コンベンション以降、9〜10月ごろに取り組んでいた「和牛」はまたしても途中で悩み始めて止まってしまい、その後は創作自体をしてなかったりしてそろそろマズイなと思い始めたため、リハビリ的に小品を折ってみようと決意。題材をいろいろ思い浮かべる中で「チョウでも折るか」と思い立ったら、割とすんなりとできてしまった(と言っても3つほどの異なる創作プランを試してはいるが)。
Butterfly
足なし触角あり。




展開図と基本形。
展開図を見ればいかにも明らかだが、とっかかりの試作は正方基本形で、後から中心線に幅を足して、胴体部分の確保と同時に触角〜頭部の洗練を行う、という流れで創作した。
予想以上に頭部の折り線構造がまとまったのは、さすが22.5度の信頼感というべきか。さらには一値性の技法的な強力さも感じられる。翅部分は非一値的な面配置の構成だが、対角線周辺は一値性でまとめてあり、胴体に幅を加えて2軸になったところを頭部だけ中心線に合わせたため、計「3軸」の構成となっている。付加した幅がとても細いせいで最初の折り出しが難儀だが、これはしょうがない。今後折り図用に折り出しの工程を考えなくてはならないが、今は定規で測って折っている。


造形としては、あまり折り込まないがシルエット的にはリアル志向、というものを目指した(これは動物シリーズの基本スタンス)。吉澤さんのチョウに代表されるような「生きているチョウがとまっているところ」を表現していて、標本で展翅された形状ではない、というのは1つのポイントだ。もっともチョウの作品は数多く創作されていることもあり、イメージとしては特段独自なものにはなっていないだろう。そんな中で意識してみたのは、触角を折り出すにあたっての頭部の造形だった。触角が翅のつけ根から出ているのではなく頭部から出ているようにしたかったし、触角の生える位置は頭部の横からではなく、先端近く・中心寄りから出すようにしたかった。

他に、翅に折りフチを出さないことも条件にしていたが、これは「下手にフチを入れるとバランスの収拾をつけられないだろう」というどちらかと言うとネガティブな理由による。前後の翅の区別もつきやすくなるし、イメージのゴールが掴みやすくなった気がする。
翅とそれ以外を色分けしたのも視認性の向上を期待してのものだが、用紙上下で折り込んでいる紙の端に多少の無駄感がある。色分けをあきらめると胸部と腹部の境界をはっきりでき、口吻も折り出せるが、これはやはりバリエーションとしての扱いになるだろうか。


仕上げ上では、翅の折り込み(アウトラインを作る「隠し折り」)をどの程度するかというのがやはり悩みどころ。基本形のままだとちょっとそっけないというか優雅さに欠ける感じがする。かといって全てのカドを丸くすると、リアル感が触角の避けられない太さとコンフリクトを起こす感じがする。ということで間を取って前翅の2箇所のみカドを削ることにした。以上の判断はまったく個人的な感覚な上に、折り図化までに多少の変更があるかもしれない。



ちなみに裏側は度外視してるのでこのとおり見せられない。造形上不要な内部カドをスタンド代わりに利用している。