うさぎ2(Pancake Bunny)

はてなブックマーク人気エントリー経由で読んだ極東ブログの記事に、一昔前に話題を呼んだ「うさぎのウーロン」の画像があった。つい「今年のJOASコンテストはウサギだったな、頭に折り鶴が載ってるウサギを折ったら面白いかも」などと連想しつつも、公式サイトに行って写真を見ていたら*1インサイドアウトだけでも存在感あるなあと思えてきて、紙を手に取った。

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で、ほとんど即興に近い試作第1作がこれ。


頭から耳にかけてが鶴の基本形、という既視感ばりばりな構成だ。だって即興だもの。
こういう座ったポーズのウサギを、立体的に丸みをつけて表現するのは、ラングさんが先鞭をつけたものだろうか*2

もはや「折り紙ウサギ」のスタンダードなイメージのひとつと言えそう。例えば神谷さんのウサギなんかもこのイメージの延長線上にあるし、最近だとNicolas Gajardoさん*3作品もそう。むろん、ぼくのこの試作も(後ろ足をカドで折り出していないという違いはあるが)同じ路線だと言える。
折っている最中から思っていたことだが、コンテストに出すなら何かしら自分の中で新しい試みをやりたいが、これはそういうものでは無い。なので、その日のうちにTwitterで公開してしまった。

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翌日。これは正規作品にはならないだろうけど一応記録として残しておこうと展開図を描いていて、前足の構造がもうちょっときれいになるかな、と思ったので、比率を見直すことにした。第1作よりも短いカドになったものの、だいぶすっきりとなった。構造としては、自分で言うのもなんだが、ぼくの常套的な手口だ。前足の改良につられて後半身を色替えするための折りも変化して、展開図はこうなった。

展開図と写真を公開して1日を締める。

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また翌日。写真をアップしたくせに、実は仕上げの吟味をまったくしておらず適当だったので、まじめに考えることにする。
まず頭部。目のところで段折りをしていたが、胴体のすっきりした感じから浮いている。段折りの結果フチが浮いて、頬のところに無意味な影が入るのもよろしくない。しかし顔の立体感(目のところがでっぱっている)は再現したい。というわけで結局はかるく曲線に折って立体化するだけにとどめた。口を縦方向に段折りして「ω」のような形にすることを検討したのちに却下。代わりに耳の感じを少しリアル寄りに修正する。
前足。顔の造形と比較すると、ちょっと45度の素のカドでは強すぎるようだ。両脇の紙をわずかにずらしてみたら、うまいことうさぎの前足らしさが増した——これは良い。
胴体。これが案外悩ましい。なにしろ後ろ足も尻尾も何もないので、らしさを出すのは本当に丸みをどうつけるかだけにかかっている。紙の張力のために丸みを維持するのもむつかしい。胴体の脇を中割り折り状にかるく折り込むことで、雰囲気を出しつつ形を安定させることを狙ってみた。

その結果。ちょっとの違いだが、これだけの差が出るのだから、改めて「仕上げ大事!」。

こちらは、自作テクスチャを印刷した紙で折った。一応、本折り。他の角度からの写真をとりあえず本家にアップしておいた。


でもって、2日目の段階でTwitterに「なんていうか"10年前の作品"って感じ。」とか批判的に書いたくせに、こう何度か折っているうちに情が湧いてくるもので、いつの間にか折り図を描く気になっている、というオチ。可愛らしいんだから新規性が無くたっていいんだよと自分に言い聞かせている。

*1:頭芸の写真だけならhttp://www.gookalian.com/oolong/gallery/の方がまとまってる

*2:吉澤さんは?と突っ込まれそうだが、ぼくの中では吉澤さんのウサギはちょっと違うという認識

*3:折紙探偵団』121号の布施さんのレポートに書かれてた人