鳥は難しい

 宮島さんのこの辺を読んで。
 確かに鳥は難しくて、ぼくもどうしたものかと常々思っているんだけど、大きく言って2つの理由がある。ひとつは宮島さんも書いているとおり、どんな種でも形が似てるということ。感覚で言うなら、鳥を複数種類折り分けるのは、犬の品種を折り分けるのと程度的には一緒という気がする。もうひとつは、立体的な胴体をどう表現するかということで、前の「形が似てる」というのが特徴のツボを把握すれば解決可能な、いわば「造形」寄りの問題であるのに対して、こちらは解決に当たって構造的な思考が必要になってくる。
 ちょっと分かりにくいかしらん。この構造というのは、いわゆる背割れ腹割れということに近い。鳥の場合も、動物でいうところの背割れ腹割れ内割れみたいなそれぞれの使い方は定番的にあるのだけれど、動物ほどセオリーになってないというか、それぞれの利点や特長がはっきりとつかめてないかな、と思う。いや、つかめてる人もいるのだろうから、あくまでぼくが、という話だけど。


 鳥はただ立体というだけでなくて、どんなポーズをしてもふさふさの羽毛でシームレスな曲面に繋がるところが、非常に折り紙で扱いにくい形だ。猫のむつかしさとちょっと似ているが、飛んでいるところと立っているところと座っているところをそれぞれ折るのに、構造レベルから変えないといけないというのは実に容赦が無い題材だ。
 大抵の折り紙は不完全な立体で、錯視や想像力を込みで立体的な対象物に見せているわけなので、その「見せ方」*1のテクニックが出揃ってきて、ようやく仕上げとかそういうことが考えられるのかな、と思うと先は長い。例えば、飛んでいるところを折るとして、胴体を立体的に折るとして、まず円柱に翼がくっついた形を考えたとして、円柱の胴体は折れたとして、じゃあ首が円錐になるところをどう繋げて折ろうか、となるとこれが悩ましい。

 このあたり、ラングさんはさすがに研究熱心で、色々な方法を試していて大いに参考になる。Origami Design Secrets所収のハチドリとか、とても面白いものね。
 ぼくも前から練っているアイデアがひとつあって、ぜひとも形にしたいと思っているんだけど、つい最近も鷲の再チャレンジで盛り込もうと思ったら、ある問題が発生してしまって早くもつまづいてしまっている。というわけで鳥は難しい。

*1:本当は見立てが先だから、順番が逆だけど