続・折りの楽しさ

nhさんから反応もらったので、そこからまた思ったこと。全体をまとめるだけの時間が(能力も)ないので、トピックごとに書いていくことにする。前回以上に読みにくいです。

座屈感

この間の楽しさ云々で書いたのは「座屈感」が折りの楽しみの根っこなんじゃないかと思ったのが元です。それが小松さんの記事のいうところの「折りの心地よさ」なのかな。

「座屈感」は「紙/折りの心地よさ」の両方に関わる感じで、どっちとかじゃないかも。あの分類で「折りの心地よさ」と表現したのは身体訓練だから、「紙をただ折る」だけでも味わえる座屈感は少なくとも「折りの心地よさ」の中心ではないように考えてる。そもそも座屈感もちゃんと定義されてる語じゃないので、まあ適当です。

「ライト層」

やっぱりそういう「面白さ」に気付かないとマニアになれないのかな。

前回の記事で、「ライト層」が「折りの面白さ」をまるで意識してないかのように書いたのはちょっと筆がすべったと言える。「ライト層は折りの面白さを体系化しない」と言うのがより正確だろう。もちろん体系化しないことによって気づけない「面白さ」は増えるので、大筋では間違ってないと思うが、体系化とは関係なく存在するような「面白さ」を別に考慮すべきかもしれない。そんなことを言っていると「見立て」とかも加えなきゃいけなくなってきてややこしくなってくるけど……。
ちなみに「ライト層」とは具体的には、折り鶴や薗部ユニットや川崎ローズなどをほとんど専門に折る人たちを想定していた。「折りの心地よさ」のみで楽しむということは「折り技法すら意識せずに折る」ということになる。例えば、「ねじり折り」という理解ではなく「川崎ローズのあそこの折り方」という理解のような。もちろん、こういうライト層に受ける作品に「折りの面白さ」の要素が無いという話ではない。

一線折りとか

ぼくがこの話題で使っている「マニア」の意味(折り紙に対して体系化した知識で接している人)では、一線折りはまあマニアのものだろうと思う。基本的にnhさんと同意見。「芸術に関する何らかの知識がないと面白くもなんともない。」とまでは言わないけど。一線折りは「見立て」まで排したミニマリズムなんだけど、それ自体は普通の折り紙の何気ない1工程にも含まれる要素だったりするので、あえてそれだけ取り出したものに注目するにはやはりなにがしかの知識がないとスルーしてしまうと思う。

「折らないマニア」

これは自己レス。

「折りの面白さ」に気づいて、それを経験として「折りの心地よさ」に繋げられると折り紙マニアが一丁できあがり。繋げられないと初心者のまま止まるか、挫折。

と書いたけど、繋げられないまま、「自分で折っても楽しく折れないから折らないけど、折り紙について妙に知識があって濃い議論ができる」ような楽しみ方に着地するタイプも考えられる。

「愛」の正体?

折紙してる人−してない人の間の認識の差異だけじゃなくて、折紙してる人同士の認識の差異も結構あるんじゃないかというのがあるんですね。

それはもうそのとおりでしょう。知識の体系化自体にはある程度の客観性が想定できるかもしれないけれど、そこからどういう価値を見いだすかは個人の問題なので当然違ってくる。
まあ得てしてその先にはマニア同士の「優越感ゲーム」が始まりがちだったりして、「蛇腹なんて認めない俺カッコいい」「←という狭量な奴とは違って俺は蛇腹も角度系もこなせるから凄い」「←ていうかコンプレックス系なんて袋小路でしょ。シンプルな見立てこそ本道」「←折り紙で本道とか邪道とか言い出す奴は何も分かってない」……みたいな(笑)。

そういう考え方が違う人が、それでもなお「折紙」を通してけっこうまとまってるってのが、すごいなあと。なんでなのかなあというのが気になってて。そこで「愛」じゃつまんないし。

本当にまとまってる?という疑念はさておいてみて、そこで「折りの心地よさ」が答えのひとつにはならないかな、と今回思った。変なこと言うけど、「折りの面白さ」が文化系の優越感ゲームに繋がるなら、「折りの心地よさ」は体育系のヒエラルキーに繋げられて、割と「強い奴は強い」「すごいものはすごい」みたいな世界観じゃないかと思えて、その下ではあまり軋轢は起きないような気がする。言ってみれば「触感のレベル」の方が「判断のレベル」より働く原理がシンプルなので。
だから折り紙の世界がまとまってると感じられるのは、現実には「全く折らないマニア」みたいな人がほとんどいないからでもあるだろう。ぼくはその未来像には否定的だけど、もし今後「折らないマニア」が増えてくる未来があったら、さきほど冗談で書いたような優越感ゲームが表立って繰り広げられるようになるのかもしれない。

というわけで、だらだらと書いているうちに今回は「折り紙はいかにもインドアな大人しい遊びに見られるが、実はすごくマッチョな面もあったのだ!」という驚き(?)の結論に達した。自分で書いててなんだけどホントかな。