2018秋の学祭カレンダー

既に終わってしまった学校もいくつかあり、それは載せていない(申し訳ない)。
頭に(不明)とついているのは、今年活動はしているようだが、現時点では公式サイトなどで参加が確認取れなかったもの。追々調べて追加したい。

開成学園 折り紙研究部

147th開成祭
9月22日(土)・23日(日)
https://kaisei-fes.com/

早稲田中・高 折紙同好会

2018興風祭
9月29日(土)・30日(日)
https://twitter.com/kofufes_2018

東京工業大学 FIT

工大祭 2018
10月6日(土)・7日(日)
https://koudaisai.jp/
https://koudaisai.jp/plans/plan/K-07

九州大学 ORUTO

第71回九大祭
10月6日(土)・7日(日)
http://kyudaisai.jp/71st/

(不明)千葉大学 OLIOLI

第56回千葉大
11月1日(木)〜4日(日)
http://chibafes.com/

筑波大学附属駒場中・高 折り紙研究会

第67回筑駒文化祭
11月2日(金)〜4日(日)
https://tsukukoma.bunkasai.info/‎

東北大学 ORUXE

第70回東北大学
11月2日(金)〜4日(日)(ORUXEは3・4日のみ?)
http://www.festa-tohoku.org/70th_pre/

(不明)早稲田大学 W.O.L.F.

早稲田祭2018
11月3日(土・祝)・11月4日(日)
https://wasedasai.net/‎

(不明)東洋大学 四季折々

第54回白山祭
11月3日(土・祝)・11月4日(日)
http://hakusanfes.com/

京都大学 いまじろ〜

第60回11月祭
11月22日(木)〜25日(日)
http://nf.la/

慶應大学 折禅

第60回三田祭
11月22日(木)〜25日(日)
https://www.mitasai.com/

東京大学 Orist

第69回駒場祭
11月23日(金・祝)〜25日(日)
https://www.komabasai.net/

(不明)一橋大学 一橋折紙クラブ

第49回一橋祭
11月23日(金・祝)〜25日(日)
https://ikkyosai.com/

折り紙サークルネットワーク展示会「THIS IS ORIGAMI」を見に行った

おりねっとの展示会を土曜に見に行ってきた。80ほどの展示作品は創作・非創作を問わず作者の熱量を感じられるものばかりで楽しんで鑑賞できた。創作作品については、昨年夏のICOA展以降に創作された作品も多く、Twitterなどで写真で見ていた作品も実物を見ることで新たな発見があった。(今年度のICOA展への出品もよろしくお願いしますね。)


最近ブログで怒濤のように作品をアップしているすけさん、東京コンベンション以来のTaonさん、作品を一目見て昆虫好きと分かるデメニギスさん、「人物折り紙下半身強化同盟」の同志であるところのがっきーさんらとは、長目にお話しもできた。折り紙の話なら際限なく話せる折り紙バカなので、こういった折り紙談義はいつも楽しい。ただ若い人相手だとなんとなく配慮させてしまうというか、こちらとしては対等に意見交換したいつもりでいても、結果的に知識や意見を押し付ける感じになっていやしなかったかと、どうも後になってムズムズしてしまうことがある。


別の部屋で同時開催されていた作品講習には参加しなかったけれど、その後で行われた「お題合戦」(即興競作)を観戦した。来場者は25人くらい(最初。段々増えてたみたい)でうち子供が5、6人いた。挙がったお題が難しいものが多くて創作者の面々は大変そうだったけど、創作しながら雑談も交えてうまいこと間を持たせていたと思う。一般の参戦も可ということで主にお子さんが挑戦していたが、選手の作品よりクオリティ高いんじゃないかというものを折っていた将来有望な子もいて、このまま折り続けてほしいものだ。「じゃがいも」のお題でがっきーさんが「プリングルスのキャラクター」を出したのを見て、プリングルス本体も折れそうと思ってつい自分も参戦してしまった。
http://twitter.com/UnivOrigami/status/980000843494703105
いくらなんでも雑に折り過ぎた。


アンケートでは、特異な造形で異彩を放っていたHiさんの「ねこ」に投票した。1位の結果だったようで、やっぱり引き付ける何かがあるのだろう。Hiさんは「ねこ」を出す一方でラブライブ!のキャラ折りもあるというナゾの振れ幅を見せていて、ご本人とお話ししてみたかったが残念ながら土曜はいらしてなかったようだ。
展示作品全体としてはマニアックな題材が若干多かった印象。そういうのは参考画像があるといいなあと思いつつ、著作権を考慮すると準備が大変そうだし、「マニアックなもの(ほとんどの場合自分の大好きな対象だろう)を折りたい!」という衝動も大事だから、努めてメジャーな題材を出品しましょうと縛ってしまうのも何か違う気がする。元ネタが分からなければ分からないなりの鑑賞の仕方があるのも確かだし、なかなか難しいところだ。(解決法として、元ネタの画像が見られるウェブページへのリンクをQRコードで置いておくという方法を思いついたが、これは問題ないものだろうか。形式的には無断リンクのようなものだから法的な問題は大丈夫な気がするけど。*1


一般の人も対象にした折り紙展示というのはやっぱりなかなか悩ましくて、テッセレーションや連鶴など比較的に構造や作業工程を想像しやすいジャンルはあれども、基本的に造形しか見えないので、それは創作者や折り手が見ている景色のほんの一部だという現実がある。さらにマニアックな題材になると、見立てや細かい工夫の面白さの大部分も伝わらなくなる。今回の展示では、「創作者と折り手の説明」などの解説パネルがあったり、折り途中の状態も交えて複数の表現形式を用いた大型の複合作品(梅に鶯)があったり、使用用紙が分かり易く図解された作品札などさまざまな工夫がされていて、それらは素晴らしいものだったが、作品それぞれの解説というのはなかった。
個人的な考えとしては、もっと言葉で説明してしまっても作者の思いを一般の人に向けて伝えた方がいいのではないか?と思っている。昔Oristの展示を見た後にも、コメント欄があるのに空欄になっている作品が多かったので、「苦心したポイントや満足しているポイント、創作なら発想の経緯などをもっと書いていいのでは」というような感想を伝えたことがあった。無論、「展示作品」そのものをそのままに受け取ってほしいというように考える人は作品解説はしたくないかもしれない。他にも、展示の場所に文字情報がごちゃごちゃあるのは美的に良くないという向きもあるだろうし、解説札をいくつも作る手間や管理が大変になりそうだ。
1つのアイデアとして、目録のリーフレットを作ってそこに一言コメントを載せるというのはどうだろう*2。これなら比較的実行しやすいかもしれない。リーフレットであれば載せたくない人は載せなくても、展示の統一感には影響がない。先に述べたような、鑑賞に影響を与える懸念はあれども、ほとんどの場合は見過ごしていた部分に気付くなど足を止めて作品を見てもらうきっかけになることを期待できるように思う。まあ実行しやすそうと言っても実際にやるのは大変だしその分の印刷費もかかることなので軽々しく言えることではないが…。


展示が終わった後には、残っていた面々と食事会に混ざったのだが、折り図を描き始めて間もないという3名から折り図制作についてのアドバイスを求められ、それぞれの描いた折り図(間抜けなことに後になって気付いたけど、今回の講習用に作ってきた折り図)を見ながら、自分だったらこう表現するかな、というところをお話しした。大体のところは折り図の「分かり易さ」を考えるで触れている内容で特別なことはなかったと思うけど、実例があると具体的に説明しやすいもので、ついつい興が乗ってしまってあっという間に11時半。慌ててほぼ終電で帰宅したのだった。


運営にあたった皆さんも、出展した皆さんも、本当にお疲れさまでした。

*1:最初にアップした文章だと、展示で実際に行われていたことのようにも受け取れる表現になっていたので修正。アイデアということです

*2:200文字程度ならば80作品でもB5の4ページ分になんとか収められそうだ

ドーナツ型の箱を折る


▲みずすましさんが書かれているように、普通に折るとドーナツの中心側の壁にヒダが飛び出す


▲ということはここが切れていればヒダを平らに倒すことができる。


▲切り込みの入った構造と言ったらこう。


▲問題は後ろに飛び出る内部カドだが、これをつぶす。



▲ちょびっとはみ出てしまうようだが、無理矢理つぶせば分からないレベル。


▲<図A>展開図ではこう。ピンクで塗った三角の面が、はみ出て正確には干渉してしまう部分。
真ん中のカドが小さければはみ出る部分も小さくできるので、段沈め折りをすれば良い。裏側に行く部分の干渉はスプレッドシンクで解消する。


▲<図B>段沈めの幅を最大値でやると鶴の背中に鶴が入った折り線になる。これを無限に繰り返せば干渉部分は無くなる。無限に繰り返せば。
と言っても1回やるだけで、はみ出る面積は3%程度と急激に減少するから、大抵の場合それで十二分のはずだ。そもそも元のままでも紙の厚みと伸びでほとんど問題ないレベルと思われる。


▲凹凸を反転すると、はみ出た部分が今度は無理矢理押し込められる格好になるが、こちらも実際の紙では問題なく折れる。
残ったヒラヒラのヒダはクローズドシンクすれば隠れるので、これで箱の表裏ができた。理屈の上ではもう折れたも同然だが……。


▲1つの折れ曲がり部分を構成する箱の面を適当に配置。


▲それを6つ分とのりしろを足す(正方形にはなっていない)。展開図は完成。
しかしこれをマトモに折れる気がしない。折り筋をつけるのが大変な上に絶対後半でぐちゃぐちゃになるやつだ……。









▲決心して実際に折ったらやはりぐちゃぐちゃになった。図Bの処理はしていないどころか図Aのようにきれいに折ってもいなくてただアバウトにつぶしただけ。
結論としては、折れることは折れるけど一枚で折る形状じゃなさそうだ(少なくとも本記事のやり方では)。

「チョウ」の折り工程の話

発行からもうひと月以上も経ったが、第27期の日本折紙学会会員特別配布資料「チョウ」の折り図が掲載された。長工程モノの折り図が期待されていそうななか100工程未満の作品で申し訳なかったが、同時収録の「グランドドラゴン」(ウーさん創作/はうす折り図)が超大作となった関係でちょうど良いページ数だった拙作が収録されることになったのだった。


この「チョウ」は2015年2月の創作だが、折り工程の構築で問題があってなかなか作図に取りかかれなかった作品だった。

まず1つには、胴体のために入れた細い幅領域(展開図緑の線)のせいで折り出しがむつかしくなってしまった。この幅は触角部分で22.5度の構造に吸収しているため、大きさに揺れが許されない。いろいろと基準点を取って探してみたのだが*1、どうしても翅(ピンクで塗った部分)に折り筋が入ってしまう。
そしてもう1つの問題も余計な折り筋に関するもので、先の展開図の赤い丸の場所、「かぶせ折り」状の構造をどう折るかという問題があった。通常こういうケースでの工程化としては、片側の線を延長した折り線で予め折ってしまって後で引き出したりずらしたりして、かぶせ折り構造に持っていくというものが定石的で、このチョウだと例えばこのようなものになる。*2

しかし当然この手順では余計な折り筋がついてしまい、後ろ翅に赤線のように入ってくる。

折り出し手順の折り筋と違ってこちらは22.5度系に収まっているものの、あまり好ましい折り筋に思えなかった。*3

ここに折り筋が入らないように折るには、立体的な工程とするしかない。発表した折り図でいうと36〜38の図となるわけだが、本来こういう工程はできれば避けたいところではある。作図の手間もかかるし分かり易さの面でも障害となるからだ。たまに立体工程が見所になってくれる場合もあるが、このチョウだとそれほど面白い動きとは思えない、というのも決断しにくい要因だった。
こういうとき、モデルの方を変更することで嫌な折り工程を回避するという方法もある。探してみると、かぶせ折りにしないで似た造形にはできる構造があるにはあるのだが、不要な折りフチが後ろ翅にわずかながら入ってしまう。これは、本来あるべき翅の見え方(重なり方)に対してノイズになっているように思えた。

そんな感じで、描こう描こうと思いつつなかなか手が付かなかった。いっそのこと計算して定規で測ってもらうか…とまで考えたところで、型紙を使うという方法に思い至った。ユニット作品などではたまに見かけたりするが、具象作品で使うというのは自分にとって盲点だったと言える。
型紙を使うのなら完全に折り筋が入らないことを優先して、立体図もきちんと描くという方針でまとめるべきだろう。型紙の折り出しを考えたとき、ReferenceFinderで折りやすい解が出てきたことも決め手となった。こうしてようやく折り工程の大きな方向性が見えた。


結局、最終的に選んだ折り工程は、創作時に手早く畳むために選択していたのと近いものとなった。
触角となるカドの折り出し(48〜64)だけは折り図で分かりやすく描きやすい手順を新たに考えたのだが、そのパートだけ若干ニュアンスが異なっているかもしれない(否定的に言うならば『まだるっこしく』なっている)。興味のある人は、同様に折る他の経路を考えてみてもらうと、この部分がなかなか分かり易く変化をさせにくい構造であることが分かってもらえると思う。ここでは翅のケースとは逆に、51の折り筋が完成形上で影響がないために折り図の手順が採用できている。
ただ上でも触れたように、平坦折りの連続で説明する手順はときに回りくどい感じになることもある。「サクサクと一気に畳む手順(ただし立体図が不可避)」とどちらを選択するか、これは悩ましい問題だが、通常は平坦折りの手順が見つかればそちらを選択することが多い。失われる「爽快感」については、「珍しい途中形状」等の別の面白さで代替出来れば良いのだけれど、偶然によるところが大きい…。


以上、「入ってほしくない折り筋」という要素が、チョウの折り工程を決めていく上で決定的に働いたという話だった。一般の折り手にとっては、あまり重要でないところで悩んでいるように思われるかもしれないが、自分の場合こういう判断が集まって1つの線を構成するという感覚を得ることが、折り図制作の上で重要なモチベーションになっている。

*1:若手の比率折り出しマスターtaigaさんからも一案をもらった

*2:ちなみに、日本猿の作品集版の図105のように、unsinkでかぶせ折り構造に持っていく方法もある。当然余計な折り筋がつくのでチョウでは採用できない

*3:ところで前翅に入っている水平の折り筋は問題にしないのかと思う人がいるかもしれない。放射状の向きということと、そもそも工程上でほぼ避けられない折り筋という理由から、自分の中では問題ない折り筋だと認識されているようだ。