折り紙サークルネットワーク展示会「THIS IS ORIGAMI」を見に行った

おりねっとの展示会を土曜に見に行ってきた。80ほどの展示作品は創作・非創作を問わず作者の熱量を感じられるものばかりで楽しんで鑑賞できた。創作作品については、昨年夏のICOA展以降に創作された作品も多く、Twitterなどで写真で見ていた作品も実物を見ることで新たな発見があった。(今年度のICOA展への出品もよろしくお願いしますね。)


最近ブログで怒濤のように作品をアップしているすけさん、東京コンベンション以来のTaonさん、作品を一目見て昆虫好きと分かるデメニギスさん、「人物折り紙下半身強化同盟」の同志であるところのがっきーさんらとは、長目にお話しもできた。折り紙の話なら際限なく話せる折り紙バカなので、こういった折り紙談義はいつも楽しい。ただ若い人相手だとなんとなく配慮させてしまうというか、こちらとしては対等に意見交換したいつもりでいても、結果的に知識や意見を押し付ける感じになっていやしなかったかと、どうも後になってムズムズしてしまうことがある。


別の部屋で同時開催されていた作品講習には参加しなかったけれど、その後で行われた「お題合戦」(即興競作)を観戦した。来場者は25人くらい(最初。段々増えてたみたい)でうち子供が5、6人いた。挙がったお題が難しいものが多くて創作者の面々は大変そうだったけど、創作しながら雑談も交えてうまいこと間を持たせていたと思う。一般の参戦も可ということで主にお子さんが挑戦していたが、選手の作品よりクオリティ高いんじゃないかというものを折っていた将来有望な子もいて、このまま折り続けてほしいものだ。「じゃがいも」のお題でがっきーさんが「プリングルスのキャラクター」を出したのを見て、プリングルス本体も折れそうと思ってつい自分も参戦してしまった。
http://twitter.com/UnivOrigami/status/980000843494703105
いくらなんでも雑に折り過ぎた。


アンケートでは、特異な造形で異彩を放っていたHiさんの「ねこ」に投票した。1位の結果だったようで、やっぱり引き付ける何かがあるのだろう。Hiさんは「ねこ」を出す一方でラブライブ!のキャラ折りもあるというナゾの振れ幅を見せていて、ご本人とお話ししてみたかったが残念ながら土曜はいらしてなかったようだ。
展示作品全体としてはマニアックな題材が若干多かった印象。そういうのは参考画像があるといいなあと思いつつ、著作権を考慮すると準備が大変そうだし、「マニアックなもの(ほとんどの場合自分の大好きな対象だろう)を折りたい!」という衝動も大事だから、努めてメジャーな題材を出品しましょうと縛ってしまうのも何か違う気がする。元ネタが分からなければ分からないなりの鑑賞の仕方があるのも確かだし、なかなか難しいところだ。(解決法として、元ネタの画像が見られるウェブページへのリンクをQRコードで置いておくという方法を思いついたが、これは問題ないものだろうか。形式的には無断リンクのようなものだから法的な問題は大丈夫な気がするけど。*1


一般の人も対象にした折り紙展示というのはやっぱりなかなか悩ましくて、テッセレーションや連鶴など比較的に構造や作業工程を想像しやすいジャンルはあれども、基本的に造形しか見えないので、それは創作者や折り手が見ている景色のほんの一部だという現実がある。さらにマニアックな題材になると、見立てや細かい工夫の面白さの大部分も伝わらなくなる。今回の展示では、「創作者と折り手の説明」などの解説パネルがあったり、折り途中の状態も交えて複数の表現形式を用いた大型の複合作品(梅に鶯)があったり、使用用紙が分かり易く図解された作品札などさまざまな工夫がされていて、それらは素晴らしいものだったが、作品それぞれの解説というのはなかった。
個人的な考えとしては、もっと言葉で説明してしまっても作者の思いを一般の人に向けて伝えた方がいいのではないか?と思っている。昔Oristの展示を見た後にも、コメント欄があるのに空欄になっている作品が多かったので、「苦心したポイントや満足しているポイント、創作なら発想の経緯などをもっと書いていいのでは」というような感想を伝えたことがあった。無論、「展示作品」そのものをそのままに受け取ってほしいというように考える人は作品解説はしたくないかもしれない。他にも、展示の場所に文字情報がごちゃごちゃあるのは美的に良くないという向きもあるだろうし、解説札をいくつも作る手間や管理が大変になりそうだ。
1つのアイデアとして、目録のリーフレットを作ってそこに一言コメントを載せるというのはどうだろう*2。これなら比較的実行しやすいかもしれない。リーフレットであれば載せたくない人は載せなくても、展示の統一感には影響がない。先に述べたような、鑑賞に影響を与える懸念はあれども、ほとんどの場合は見過ごしていた部分に気付くなど足を止めて作品を見てもらうきっかけになることを期待できるように思う。まあ実行しやすそうと言っても実際にやるのは大変だしその分の印刷費もかかることなので軽々しく言えることではないが…。


展示が終わった後には、残っていた面々と食事会に混ざったのだが、折り図を描き始めて間もないという3名から折り図制作についてのアドバイスを求められ、それぞれの描いた折り図(間抜けなことに後になって気付いたけど、今回の講習用に作ってきた折り図)を見ながら、自分だったらこう表現するかな、というところをお話しした。大体のところは折り図の「分かり易さ」を考えるで触れている内容で特別なことはなかったと思うけど、実例があると具体的に説明しやすいもので、ついつい興が乗ってしまってあっという間に11時半。慌ててほぼ終電で帰宅したのだった。


運営にあたった皆さんも、出展した皆さんも、本当にお疲れさまでした。

*1:最初にアップした文章だと、展示で実際に行われていたことのようにも受け取れる表現になっていたので修正。アイデアということです

*2:200文字程度ならば80作品でもB5の4ページ分になんとか収められそうだ