金沢隆史さんの展示会@開智発表会

 昨日書いたとおり、行ってきた。開智学園のある辺りに赴くのは、小学生の頃にたまに遊びに行っていた以来であり、なんか懐かしかった‥‥ことはさておき、きれいな校舎・共学・中高一貫という、我が通った高校とは全く違う景色に少々とまどった‥‥こともさておき、折り紙展示の話だ。


 金沢さんの作品には、ある種強引とも言えるような分子配置によるものが多く見受けられる。一値分子の利点(平坦折りの保証)を最大限に生かしているものと言えるだろう。背割れ構造を選択するならば、紙の内部の折り畳み方に気を使うことはほとんど無意味になるのだから、こういう形で一値性を積極的に用いるのは理にかなっている。

 神谷さんの数年前の作品にも似たようなところがあったと思うが、金沢さんはもっと徹底的にやっている感じがする。特に面白かったものとしては「ステゴサウルス」(サイトでは紹介されていない)で、用紙周辺部にずらっと直角二等辺三角形分子を仕込んだ上で背割れの四つ足を作ることで背中の突起を折り出している。その「直球」かげんにぼくは微笑ましささえ感じてしまったのだが、こういうアイデアが出てくるのは自分の用いている手法に対する自覚がなければこうはいくまい。


 展示は、一教室借り切った中に作品と展開図が並べられていた(写真)。
 驚いたのは作品数。100作品ほどあるらしく、つまりは金沢さんのサイトで見られる作品はその半分でしかないということだ(ということは今後のサイト更新に期待していいのかな?)。
 金沢さんに限らず、コンプレックス系の創作をする中学生・高校生の多くに言えることだけど、とにかく創作スピードが速くて唖然とさせられる。「折り紙設計」という強力なツールを習得し、嬉々として造形を操る様子が伝わってくる。そういう「熱さ」みたいなものは傍で見ていてすごく刺激になるし、「負けてられないな」と思わされる。


 とにかく金沢さん、お疲れ様でした。あれだけのものを準備するのはさぞや時間を掛けたことでしょう。来場者の反応もとても良かったようで、側で聞いてたぼくもなんだかうれしかったです。