Affinity Designerでの折り図制作TIPS その4

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Affinity Designer含めAffinityシリーズが5/20まで半額セール中だ。その販促というわけではないけど、ちょっとたまってきた小ネタをまとめた。

後ろに隠れているオブジェクトの選択

optionキー(Winならaltキー)を押しながらクリックするとそのクリック位置にあるオブジェクトを手前から奥へと順に選択していくことができる。例えば、ずらした部分の間の層だけ選択したいときなどに、手数は増えるけれども、狙いを定めてクリックする必要がなくなる。

便利なダブルクリック

  • 内側にペーストされたオブジェクトの選択はcommand+クリック(WinならCtrl+クリック)で行えるが、ダブルクリックでもできる。そして内側にペーストされているのが「グループ化されたオブジェクト」の場合、ダブルクリックでグループ全体を選択することができる(さくBさんに教えてもらった)。部分図で位置の調整をしたい場合や、中身を取り出したい場合(カットアンドペーストで取り出せる)に便利だ。ただしグループ化せずに内側にペーストされているとこれはできないので、その場合はレイヤーパネルで中身のオブジェクトを選択する。
  • グループの中にグループがある場合も、ダブルクリックで中のグループを選択できる。
  • 移動ツールとノードツールの切り替えはショートカットキー(V、A)で行えるが、ダブルクリックでもできる。移動ツールでオブジェクトを選択してそのオブジェクト上でダブルクリックをするとノードツールに切り替わる。ノードツールから移動ツールにするときは何にもないところをダブルクリックで切り替わる。
  • テキストツールから移動ツールへの切り替えも何もないところをダブルクリックで切り替わる。テキストカーソルが出ている状態でうっかりショートカットキーを押すと「v」と入力されてしまうので、ダブルクリックで切り替える方が確実。

ドキュメント解像度に注意

別のファイルからコピペでデータを持ってくる場合、ドキュメント設定の解像度(DPI)が同一じゃないと図の大きさが変わってしまう(当然、線幅も変わってしまう)ので注意が必要だ。解像度の設定はいつでも変えられるので(そのドキュメントにあるのがベクターデータのみだったら影響が出ないはず)コピペ前に揃えるようにする。
これはイラレから読み込んだきたファイルからコピペしたら線幅が変わってしまって気づいた。イラレでも基本は300dpiのようだけど、そのファイルは写真を貼っていたせいで600dpi設定になっていたのだった。

境界線のスケーリング

境界線パネル内にスケーリングというチェックボックスがあるが、これにチェックを入れると、オブジェクトの拡大縮小をしたときに線の幅も一緒に太くなったり細くなったりするようになる。IllustratorやFreeHandでは拡大縮小を行うツール内のオプションになっているので、設計思想的に異なるポイントだ。複数オブジェクト内にチェックがあるものとないものが混在している場合に、まとめて拡大縮小すると、チェックありのオブジェクトのみ線幅が変わるという挙動になる。複数オブジェクトを選択した状態でチェックをオン・オフすることで、選択しているすべてのオブジェクトのチェックを一気にオン・オフできる。
折り図では基本的にあまり使わない機能だと思われるが、図を詰めるレイアウトに変えたい場合などで、「図を小さくする必要があるが普通に縮小するとずらし描写が潰れてしまう」というような際に必要になってくる。
チェックが入ったままだと、うっかり図の修正でオブジェクトの拡大縮小を行った際に線の幅がそこだけ変わってしまうなどの事故が起きるので、使った後は基本的にオフに戻しておくのが良いと思う。

ADからIllustrator(Ai)への書き出し

以前も記事で少し書いたが、その後ちょっと調べた結果の簡易まとめ。CS5での結果であり、しっかりとした検証でもないのでそのつもりで読んでほしい。

EPS

  • 良い点=図に関しての再現度が高いまま読み込める
  • 問題点1=グループ化がすべて無効になる
  • 問題点2=テキストがすべてアウトライン化される
  • 問題点3=ADでのアートボードは無効になる

SVG

書き出しオプションパネルの「その他」で詳細な設定として、「変換のフラット化」にチェックする。これにチェックをしないと線幅が部分的に太くなったりおかしなことになってしまう。

  • 良い点=グループ化が有効のままで読み込める
  • 問題点1=テキストが1文字ずつバラバラになる。詳細設定で「より長いテキストをテキスト範囲」にチェックを入れても数文字単位でバラバラになる
  • 問題点2=オブジェクト全体の大きさが大きく読み込まれる(その分、線が太い設定になる)
  • 問題点3=ADでのアートボードは無効になる

PDF

  • 問題点1=各オブジェクトの線と塗りが2つのオブジェクトに分離する
  • 問題点2=テキストが1行ずつバラバラになる

EPSとSVGは一長一短という印象。規格としてはSVGの方が汎用的らしい。ファイルの書き出し・読み込みはソフトによって挙動が違うようで、ADで書き出したEPSをADでまた開くと、線と塗りが分離してたりする。一応それぞれに仕様が決められているはずなので、それに則っていないのはソフトのバグということなのだろうか。ということはバージョンによって異なる結果になることも想定される。

オブジェクト属性の一括置換

ADにオブジェクトを属性で絞って一括選択する機能がないのは大きなマイナス点で、今後のバージョンで搭載されることを望んでやまないが、現状Aiに書き出して行う他に、Mac版しかないソフトだがVectorStylerでできることがわかった。VectorStylerには、Select Similarという塗りの色や線の太さなどで一括して選択する機能がある。
www.vectorstyler.com
最新ベータ版だとPDF読み込み/書き出しで「オブジェクトの線と塗りの分離」も起きなかった(EPS、SVGだと分離する。Aiの結果と逆で面白い)。ただしPDFでは破線のバット線端がラウンド線端になってしまったのと、テキストが全て文字化けしてしまった。破線については一括選択で簡単に修正可能だ。テキストは元のデータから移植することになる。上の項目でも書いているとおり、テキストを編集可能性の高い状態でソフト間を移るのはなかなか難しいようだ。
以下はADで描いた折り図をVectorStylerでカラー化したもの。ADで同じことをやろうとするとオブジェクトを1つ1つぽちぽち選択していくという非人間的な(汗)作業が要求されてしまう。ただ山折り線・谷折り線をそれぞれで一括選択することはVectorStylerでもできなかった。色を変えてからまたPDFで書き出してADで再度読み込んでもやはり線と塗りの分離は起きなかった(というかこの図もADでPNGに書き出したもの)。
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元のモノクロ折り図