Affinity Designerでの折り図制作TIPS その3

任意の角度の対称軸で反転させる方法

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以前の記事では不可能そうだとしていたが、スナップを利用することで正確に反転させることが可能だった。以下その具体的な方法。スナップは「オブジェクトジオメトリにスナップ」をONにしておくこと。

反転軸をまたがる線でオブジェクトを分割

1)反転軸で分割されるオブジェクトを移動ツールですべて選択する
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2)ノードツールで反転軸との交点にノードを追加する(マウスカーソルを合わせて小さな◯が出現するときが交点にスナップが効いている)。以下の図では残したままになっているが、交点の追加が終わったら反転軸の線は消して良い
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3)追加した反転軸上のノードをすべて選択し、コンテキストツールバー[アクション]→[カーブの切断]
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4)ノードの選択が外れるので再び反転軸上のノードをすべて選択し(このとき2つずつ重なっているノードをどちらも選択するためにShift+マーキー選択を用いること)そのまま同じく[アクション]→ [カーブを閉じる]。これで紙の面のオブジェクトが分割される
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(注意:反転軸をまたいだ折り筋がある場合、(4)では分割した折り筋のノードを選択しないようにする。一本線に [カーブを閉じる]を適用すると、見た目は線でもデータ上では輪っか状態になってしまうため)

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上の線はデータ上では輪になっている

オブジェクトを反転して、ポイント変換ツールで反転軸に合わせるように回転する

1)反転させる部分のオブジェクトを移動ツールですべて選択し、最前面にしておく
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2)上下反転か左右反転させる。(正確さが不要であれば、このまま回転・移動させて目視で合わせれば良い)
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3)選択したままノードツールに切り替えてノードを全選択する(⌘A)
4)折り返し後に一致する点の片方をドラッグしてスナップで合わせる
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5)ノードを全選択したまま、[ポイント変換ツール]に切り替えて(デフォルトではノードツールの右下三角に格納されている:ショートカットキーF)、「変換ポイント」(◯に十字:回転の中心になる)をドラッグで移動して、(4)で合わせた点にスナップで合わせる
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6)折り返し後に一致するもう一方の点をドラッグしてスナップで合わせる。これで任意の角度による反転が完成した。後は必要な調整をして作図完了
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アウトラインモードにしたところ

個人的には、仕上げ工程の作図においては、ずらし表現もあいまってそこまで正確に反転させなければならないというようには考えていなくて、FreeHandでも目視で反転させて描き進めてしまうことがほとんどだった。
正確さが必要となるとすれば序盤の工程だが、作風が22.5度系であれば回転のスナップや数値入力で済んでしまう。ただ自由角系の作品、ぐらい折りを含むピュアランド折り紙などの折り図化ではこうした作図方法が必要になってくると思う。なんにせよ現時点でも可能ということはADを折り図制作に用いる点で安心材料ではあるだろう(反転機能はもう少し強化してほしいところだが)。


20190810追記
Flipping object with transformation origin and angle - Affinity on Desktop Questions (Mac and Windows) - Affinity | Forum
任意角反転の別法がこちらで紹介されている。反転軸を一度垂直線にスナップさせることで角度情報を得てそれを入力するもので、変形パネルの入力に計算式が使えるため、入力前の手計算などは不要になっている。
情報提供頂いたF様ありがとうございました。