折りフチの影響について(ジャッコランタン改修)

ハロウィーンということで(と言っても改修したのは7月のことだが)カボチャチョウチン。
Jack-o'-Lantern


普通、折り図を書き始めると書き終わるまではあまり他の折り紙作業をせずにかかりっきりになるものだが、たまに作図作業が続かなくて途切れてしまうことがある。こういうのは大体、心の底で作品や工程に気に入らない部分があるときだ。
2011年に作ったジャッコランタンも、いったん工程を詰めて作図作業に入っていたのだが、10図ほど書いたところで中断していた作品で、やはり不満な点があったためだ。創作当時は良い点と悪い点を比較して許容範囲としていたのだった。
A)口のインサイドアウト(良い点)
B)顔の真ん中で段折りする構成が面白い(良い点)
C)茎の折り方が少し難しく煩わしい(悪い点)
D)目の上に不要なフチが入っている(悪い点)

Aはこの作品の中心となる構成。Cは折り図の図解でなんとかできるかも、というくらい。何より不満だったのはDで、フチの線のせいで「困り顔」に見えてしまうことだ。お化けなので端的にイメージとそぐわない。Bと秤にかけて許容していたのだが、時間が経つ程に気に入らなくなってきた。
今回はBをあきらめることで、この余計なフチを消すことにした。ついでにCも(折りとして面白みは無いが)簡単になった。

もっとも今度は三角の目の中にフチが入ってしまった。この線は漫画的な記号だと柔和な雰囲気を出すものだから、やはりジャッコランタンとは相性が悪いようだ。まっさらな面であれば、無表情で不気味な顔になるのに、と思う(これは例えば前川さんのジャコランタンなどを見るとよく分かるだろう)。

↑こういう風に折ると、逆に怒った表情に見える。ただ両目の位置が寄ってしまうこともあって採用しがたかった。

↑さらに両目の位置が寄ってしまうが、目の内側に何もフチが出ない参考例。

↑追記時に思いついた案。フチが水平に入り比較すればニュートラルな表情になるが、きれいに直角二等辺三角形につぶそうとすると折りが煩しくなるのが余りよろしくないなあという感じ。

フチによる造形への影響の問題については何度も書いてきた。単に「フチの線がある」というだけではなく「フチの作る影」が大きく影響していて、これはフチの厚みや周囲の構造と関わってくるので完全にコントロールするのが難しい。それだけに、思い通りの結果が得られたときの感動も大きいわけだが…。

おまけ(むしろ本題)


同じ作品を100個折るというのは大場雅人さんの十八番だが、思いついた駄洒落を実際にやったら馬鹿馬鹿しいだろうなあという、ただそれだけのために折ってみた(制作は8〜9月で少しずつ折りためた)。大場さんはぼくの「パピヨン」も100個折ってくれているが、今回ジャッコランタンの簡単さでも途中で辛くなったので改めて頭オカシイと思った(褒め言葉です)。