新作「ATCのためのサンタ」

Santa Claus for Artist Trading Cards
新作と言っても、もう3ヶ月前の話になる。1月にサンタクロースの新作ができた。2連続でサンタ作品というのは自分でも意外だったが、これで4作目のサンタというのも驚いてしまう。生まれるきっかけになったのは、新年になってサンタの記事を書き始めたdaidaiさんの「タングラム的サンタ」だ。

ご本人も書いているとおり、数年前に局所的に流行った「(インサイドアウト)折り紙パズル」を思い出して、ちょっとやってみようと思ったら、思わずやりこんでしまった。直後の折紙探偵団東京友の会1月例会でdaidaiさんにお会いできたのでうかがったところ、ご自身では記事に上げた作例くらいしか試してなかったそうで、茶々を入れるどころではないネタのかっさらい具合でなんだか申し訳ない気持ちだ(daidaiさんは「こういう反応を期待してたので」と言ってくださったが)。
というところで、まずは、daidaiさんの描いたサンタ画像から派生した作例から紹介する。

バリエーションとしてはまだありうる。A〜Gは大まかに系統で分けたものだが、基本的に思いついた順だ。順番に少し解説する。



A-1が最初にできたもので、daidaiさんの図で言うと中央下のに近い形。A-2は少し折り込んでみたもので、簡潔さは失われるけど、帽子の縁取りが入るとかなりサンタとして見立てやすくなることが分かる。



Aはかなり効率悪い気がしたので、効率よい折り出しを検討した。このYパターンの形状に押し込めたデザインは、daidaiさんの図には入っていないが、相当ミニマルなイメージ。A-2のような加工は構造的にできないので、B-2では帽子のポンポン部分の色分けをしてみたのだが、蛇足的な雰囲気が漂うか。袋部分に変形させられる余裕があったので、B-3他いくつかやってみた。B-4もその1つで、最初daidaiさんが記事の最後で載せていた作例と一緒のものだと思ったが、同じデザインだが別構造だった。



CはB系列と同じサイズで、体の下が用紙フチになる配置。頭はA-2と同じ加工ができる配置なので、やってみたのがC-2。作品として捉えた場合、割とバランスよくまとまっている感じだ。


Dも、B・Cと同サイズ。A〜Cと違う点は、ヒゲと胴体の層の上下関係が逆になっている。層の上下関係は見立てに影響を及ぼす要素で、シンプル作品では特に影響がある。サンタの場合A〜Cの重なりの方が適切に思える。



Eは、daidaiさんの作例と同じ物と思われる。結構トリッキーな構造で、なぜdaidaiさんがこれを最初に思いついたのかちょっと謎(笑)。サイズはAより大きくBより小さい。



Eを折ってみて、変化球的な構造を探してみたのがF。D-1と同じデザインとなっている。面白いのがサイズで、Bより小さいがEより大きい。22.5度のみの構成で似たようなデザインなのに、微妙なサイズを折り分けられるのは、折り紙表現の多様な可能性を感じさせる。



最後のGは、B-1と同じデザインで、おそらく最大効率のもの。


という感じで、思わずたくさん作ってしまったが実におもしろかった。こういうのは完全にパズルを解いているノリで、創作しているという感覚ではないのだが、折っているうちにこの路線で1つ作れそうだと思えてきた。


そのときに思い浮かんだのは、前川さん『本格折り紙』収録の「サンタクロース」*1だった。シンプルで、平面作品で、非対称デザイン。そして、daidaiサンタのデザインイメージを下敷きに、前川サンタのヒゲの折り出し感覚を合わせてみたところ、新作と呼べる作品ができあがった。
Santa Claus for Artist Trading Cards
タイトルは、小さく作れる平面作品なので、Origami ATC向けにいいかもと思い「ATCのためのサンタ」とした。

完全非対称な展開図。折り出しは1:ルート2。
ところで、試作をあれこれといじっているときに、比率をルート2の折り出しで折っても、5分の2の折り出しで折っても何故かきれいに折れることに気づいた。7.5cm四方の紙で試作していたので、最初は、折りがズレてしまっていてどっちかが間違ってるんだろうと思ったのだが、ORIPAで展開図を描いたら、どっちも間違ってないことが判明した。要するに、最初の1折りの位置に関わらず、袋の上とヒゲの右の点が一致して、他の部分も破綻無く折れる。



試しに成立する比の範囲を求めて、実際に折ってみたものがこれ。破綻無く折れるとは言え、範囲の外側だとかなりアンバランスになってしまった。やはり1:ルート2のものが一番良いと思える。これらの展開図をGIFアニメにしてみたら、折り線同士がリンクしている様子がよく分かっておもしろい。

*1:初出では「誰でも折れる(はずの)サンタクロース」という題名だった