『本格折り紙 入門から上級まで』

お待たせしました!『本格折り紙』刊行!!(日貿通信)
 前川さんの初めての単著となる新刊『本格折り紙』がもう発売されてるみたい。こちらは木曜に献本をいただいた。なんでかというと「悪魔」の折り図の元データの提供で協力したからで、でも書店で見たら自分でも買おうと思っている。
悪魔の図自体は基本的には8年前に描いたままだけど、当時つっこみの多かった、長ーい「反対側も同じ」をいくつか分割するようなかたちに修正した。多少心理的負担は減ったはず‥‥。


肝心の内容はというと、単なる折り図集ではなく、一言で言うと折り紙の教科書のような本だ。といっても堅い文章で埋め尽くされるような感じではなくて、作品ごとに折り紙的なテーマが与えられており、折り図に挿入されているコラムを読みつつ折ることでそのテーマが理解できるようなつくりになっている。


収録作品については、出版社のページで分かるけど、マニアのさがというかで、再録作品のバージョン違いについて調べてしまったので、以下にまとめてみた。

入門篇

鼠:初出。『季刊をる』16号に折り図収録の「猫(トミー)」(山口さんの『たのしい折り紙ワールド』にも「ねこ」として収録)のアレンジだったりする。猫と鼠という繋がりが面白い。
リス:初出。『ビバ!おりがみ』のリスよりさらにシンプル。
仕切り箱:「X(ペケ)BOX」の題で『第11回折紙探偵団コンベンション折り図集』に掲載されている作品と同じ。さらに遡ると『トップおりがみ』収録の「幾何造形連作 #3」を改良した作品でもある。
巻き貝:笠原さんの『最新・たのしい折紙のすべて』収録の「貝の形」と同じもの。
サンタクロース:『をる』3号収録の「誰でも折れる(はずの)サンタクロース」(『たのしい折り紙ワールド』にも収録されてる)とは背面・袋の処理が異なっている。
キリン:初出。
ゾウ:2種とも初出。ちなみにぼくの「ぞう I, II」はこの作品が元ネタ。
変形折鶴:『ビバ!』でも紹介されていたもの。

初級篇

蛇:初出。
飛行機:『をる』12号に展開図で紹介されたものだが、そのときとは尾翼の仕上げがちょこっと違ってる。
飾り兜:『ビバ!』収録作品。
猪:初出。
イルカ:初出。
人形:『折紙探偵団』98号掲載作品。ただし折り工程が全然違う。
日本猿:『第9回折紙探偵団コンベンション折り図集』に展開図で発表されたバージョンの折り図化。『折紙探偵団』83号のは「耳」があるバージョン。
木:初出だが、『ビバ!』に「ホネガイ」の題で展開図が紹介されたものと同じ構造。

これも折り紙篇

雛人形:『折紙探偵団』65号掲載作品だが、男雛の着物の造形が変更されている。
フジヤマモジュール:初出。
ティーバッグのトナカイ:『第3回折紙探偵団コンベンション折り図集』掲載作品。
連鶴・寿:初出。

中級篇

プレゼントボックス:初出。
イカ:『をる』3号に展開図が、『第1回折紙探偵団コンベンション折り図集』などに折り図が掲載されたものと同じ。
パピヨン(犬):初出。『第12回折紙探偵団コンベンション折り図集』収録の「ブルテリア」と同じ基本構造による。
三ツ首の鶴:初出。
立ち姿の鶴:『第10回折紙探偵団コンベンション折り図集』に収録されている作品だが、頭部と足の仕上げが少し違う。
牛:初出。
羊:『第8回折紙探偵団コンベンション折り図集』で「ひつじ」の題で発表された作品だが、顔の仕上げが少し変化してる。
ドラゴン:『第6回折紙探偵団コンベンション折り図集』掲載作だが、頭部や後半身の仕上げに細かい変更が見られる。
馬:初出。
トリケラトプス:初出。『おりがみ新世界』収録作品の大幅な改良となっている。
兎:初出。
虎の面:初出。
悪魔の面:初出。
ペンギン:オーストラリアコンベンションの折り図集に収録されてたが、改良が加わっているかは不明(その折り図集を持ってないので)。
蛙:初出。
ピラミッド:『第4回折紙探偵団コンベンション折り図集』に「無限折りピラミッド」の題で掲載されたものと同じ。

上級篇

ヒヨコ:『折紙探偵団』88号掲載作と同じ。
孔雀:『折紙探偵団』61号掲載作と同じ。そのとき応用編として簡単に示されたヒダの細かいバージョンは、図解が丁寧に。
七面鳥:初出。
ティラノサウルス:『第7回折紙探偵団コンベンション折り図集』掲載の「T-Rex」を、後半身を中心に大幅に改良。指をつけるなどの変更が加えられている。
龍:初出。『ビバ!』収録作の頭部に改良を加えた、通称「浪岡バージョン(2000年)」に仕込みを入れて指をつけたもの。
カブトムシ:『第1回折紙探偵団コンベンション折り図集』ならびに『をる別冊』vol.2掲載の「翔ぶカブトムシ」と同作品だが、角・羽・腹部・脚の仕上げが異なっている。
悪魔:『折紙探偵団』56号掲載と同じ耳つきバージョン。


なお、今回折り図が初出でも、折紙探偵団コンベンションなどで講習されたことのある作品も多い。