「オオカミ」展開図と解説

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 ORIPAでの推定結果の画像も貼っておこう。
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 展開図をネタに創作の過程を振り返ってみる。
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 実はこの作品は、過去の試作をORIPAで展開図データ化しているときに発掘された折りゴミから仕上げたものだ。それもやはりオオカミを作ろうとしていてできた断片で、時期は2年ちょっと前になろうか。少し折り線の処理が変わっているものの、赤く四角く囲った部分がそれにあたる。尻尾の領域をしっかりと取り、後足の曲がりまで構造に織り込む‥‥はずだったのが、後者はうまく行かなくて正直言うとあまりオオカミの後足になっていない。加えて、前半身への繋ぎが思うように行かなかったため、そこで棚上げされていたのだった。


 ただ、後足のちょっとイレギュラーな構造は魅力的だった。今回、思わず手にとって再チャレンジを試みたのもそれが大きい。上の図で桃色で示した部分が対応する。
 面白かったのは、同様の構造が前足の部分にも繰り返されたことだった。前足の折り出しは今回も苦労させられた箇所だったが、頭の位置を決めた時点で、繋ぎとしてこの構造が現れたのは、自分で作っているにも関わらず驚きがあった。できることなら、折り上がったカドの形を生かせれば最高だったのだけれど、結局、普通の22.5度カドへと折り込んでしまった。


 緑色の四角で囲った頭部は、ほとんどアヤメの基本形だ。一値性をなるべく排そうと考えて作っているぼくにとっては、どうも複雑な気分だったが、あまりに自然に繋がったことを評価してそのまま採用とした。
 一値性と言えば、折りなおしていて気づいたのだけど、全体の構成自体がかなりシンプルな、一値性の強い構造に基づいていた。それを書き出すと、こんな感じ。
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 中心部分の処理がほとんど全体を仕切っている。で、この構造は(比率が違うものの)「ライオン」でもそのまま出てきていて、前回のエントリで触れたゆえんだ。
 ここから、どこをどう折ることで基本形のオオカミっぽい形に持って行っているかを考えてみたりすると、折り紙解析力がパワーアップするかもしれない。


 最後に、この作品のポイントであり数年来の課題、「これがやりたかったんだー」という「胸の毛並み」について。水色に色付けしたのがその部分。ブログでは紹介しそびれたが、以前似たような構造でイノシシの額の毛の表現を試みたことがある。昨年の折紙探偵団コンベンションで展示したのをご覧になった人もいるかと思うが、言ってみればそのリサイクルだ。ナチュラルに組み込むことができて、かなり満足の行く表現となった。