布施さんの「Unit and Spiral」展の写真集と特番の感想

 Design Origami Newsより。Mulatinhoさんのサイトに布施さんのバウハウス展の案内葉書の画像がある、という話は以前書いたけど、いつの間にか、展示風景の写真がたくさんアップされていた。渦巻きの画像をクリックしてくと次々見られる。


 そう言えば、去年の11月にテレビ信州で放送された布施さんの特番の録画を兄から送ってもらった、という話も以前書いたけど、見ての感想を書くのをすっかり忘れてたので、今書こう。

 まず30分まるまるひとりの折り紙作家で番組を作るってこと自体がすごいなと思うわけだけど、折り紙者の欲目を抜きにしても、一般視聴者が入っていきやすい、よく出来たドキュメンタリ番組だと感じた。これが一部地域でのみ放送とは非常にもったいない。


 番組の構成としては、上の公式サイトのアーカイブにもあるように、長さ26メートルの長方形用紙で折った蛇腹折りオブジェの制作がクローズアップされている。紙を折り始めるところから、 → 思った通りにいかず最初から作り直し → それでもまだ仕上がりに不満が → 展示するか迷いつつも、会場の隅っこに置くことに → しかし来場者には好評 → でも本人は「自分のイメージが作れてない。いつかまた作り直したい」‥‥という流れ。ちなみに、残念ながらMulatinhoさんのサイトにはこの作品の写真がない。
 ぼくが一番印象に残ったのは、「作品を売ってほしい」という問い合わせを断ったことについて聞かれて、「楽しみながら作っているので、仕事にすると苦しくなるかな、と思っている」と答えていたこと。

 改めて検索して情報を探してみたら、この番組、テレビ信州放送番組審議会の対象番組にもなっていた。


 最後に番組から布施語録を抜粋。文脈は想像ください。

ここで作ってここで見てるのと(違って)、今度行くところは建物が歴史的な建物なので、そこの中に折り紙が入って、どんなふうにお互いにバランスが保たれるのか、すごく楽しみですね。

こういうのやってるとね、植物でも何でも、花びらが5枚あったり、つるがこう巻いていたりするのも、あときれいな貝が皆きれいなものになっているというね‥‥分かってきましたよ、その秘密が。

「きれいだな」と思っていただければ。複雑なものでも「すごいな」と言うより「きれいだな」と思ってもらいたいと、いつも思っています。

(個展のオープニングスピーチより)
折り紙は自由な紙の造形の世界です。たくさんの可能性を秘めています。この展覧会を見た皆さんのこころに新しい風が吹くことを祈ります。

アートとか芸術と大きく違うところは、「自分が作った」って思わないことですよ、本人が。こんな折り方があった、こんな折り方を私は見つけたんだっていう、その喜びを伝える場みたいなね。