『神谷哲史作品集』に寄せて

 長らく待望されていた神谷さんの初作品集、『神谷哲史作品集』(おりがみはうす)が先日21日にとうとう発売となった。予約している人たちにも週明けの月曜には大体届くことだろう。ぼくは、ちょうど発売日にはうすにいく用事があったので、いただいてきた。現物ははうすガレージブックスとしては過去もっともページ数があってずっしり分厚い。

 この本には不肖ぼくも校正+αという形で関わらせていただいている。総制作期間からするとぼくの関わった時間は短いものではあるけれど、やはりそれなりに感慨深い。個人的には、神谷さんの作品に対する考えのいくばくかを伺い知ることができたことも貴重な経験だった。制作スタッフの皆さんお疲れ様でした。
 収録されている作品は「エンシェントドラゴン」を除くと全て既発表の作品だが、相当な量の加筆修正が施されているので折り図としてはかなり別物になっていると思われる。作品によっては細かいバージョンアップもなされていて、折り図を含めてのトータルな再現性はかなり上がっているのではないだろうか。


 制作作業中に改めて思ったのは、とにかく神谷作品は折るのが楽しいということだった。作業を通して1作品最低5回は折っていると思うのだけど、何度折っていても飽きなかったし、その度に楽しめた。
 そう思える理由としては、折りがバラエティに富んでいるからだと思う。いろいろなタイプの技法が次々にやってきて折り手を飽きさせない。神谷さんの引き出しの多さを実感するとともに、そういう多彩な表現を盛り込んでなお神谷作品としての作風の一貫性を表現できるところに凄みを感じる。

 (振り返ってみて、ぼくの折り紙はかなりワンパターンなのだなと思った。まあそれは以前から分かっていたことではあるが‥‥)

 なにはともあれ、折り紙ファンはマストバイということで。